研究課題/領域番号 |
21380049
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
樋口 恭子 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (60339091)
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研究分担者 |
藤田 直子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (90315599)
鈴井 伸郎 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (20391287)
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キーワード | ヨシ / Na / Cd / PETIS / グルカン / Na輸送体 / デンプン粒 |
研究概要 |
1.光合成産物動態の解析 ^<11>CO_2投与PETIS実験のデータ解析を行った結果、Cdを添加した水耕液で3日間栽培したヨシでは対照区に比べて、またCdを添加する前と比べて、新たに同化された炭素の茎への分配が増加していたことが明確になった。これは次項で述べる糖を主成分としたCd結合物質の生合成基質の供給に貢献するものと思われる。このような変化はNaストレスでは見られなかった。光合成速度の低下は小さいにもかかわらずCdストレスが早期に炭素動態に影響を与えることが明らかになったのはこれが初めてである。 2.新規αグルカンの解析 Cd処理したヨシ茎に蓄積する高分子のCd結合物質は、これまでCdが外れた場合に再結合する条件が分からなかったため精製・単離・構造決定ができなかった。今回、本物質はpH2にすると高次構造が失われるがCdを添加しつつpHを5.8に戻すとCdを含む10~50kDaの物質として存在できることが分かった。高次構造の維持にはジスルフィド結合の他に水素結合が大きな役割を果たしていると推測している。またCd以外にもCuやFeを結合できることが分かった。金属の結合にはリン酸基は関与しておらず、主にカルボキシル基を介して金属と結合していると推察された。 3.分子生物学的解析 ヨシ茎でマイクロダイセクションにより維管束とそれ以外の部分に分け、RT-PCRによって局所的な遺伝子発現パターンを解析する実験条件を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光合成産物の動態やCd結合物質については大きく進展したが、分子生物学的解析については組織が非常に硬いためやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Cdを結合する高分子の再構成方法を確立できたのでCd結合物質の単離・精製を進める。 デンプン合成の律速酵素であるADPグルコースピロホスホリラーゼの活性がCd処理により増加するが、その制御が転写・翻訳・酵素タンパク質の活性化、のいずれの段階で行われているのかを解析する。
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