研究課題
昨年度、放線菌ゲノム・マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析で、土壌中で生育している放線菌において、キチンによる転写の誘導が認められた8つの抗生物質生産関連遺伝子群について、それぞれ複数の遺伝子の発現を検出するための特異プライマーを設計・合成し、土壌で生育している放線菌Streptomyces coelicolor A3(2)株からRNAを抽出、得られたmRNA中のこれら遺伝子の転写量を定量RT-PCRを用いて測定した結果、土壌中で生育しているA3(2)株でこれら遺伝子は例外なくキチンの添加によって発現が誘導されることが確認された。特にCryptic polyketide合成関連遺伝子群のポリケタイド合成遺伝子ckpIは、キチンにより百数十倍もその発現量が増大することが明らかとなった。さらに、放線菌抗生物質のキチンによる生産量増大は、土壌抽出液を添加した寒天培地上でも確認され、キチンを含む寒天培地に土壌抽出液を入れた場合に、青色抗生物質であるアクチノロージンンの生産の増加が認められ、土壌の可溶性画分に放線菌の抗生物資生産を誘発する物質が存在することが明らかとなった。また、抗生物質生産を制御することが知られている転写因子DasRの遺伝子破壊株と野生株をキチン存在下土壌中で生育させ、それぞれのゲノムにコードされている遺伝子の発現をマイクロアレイを用いて網羅的に比較解析した結果、dasR 遺伝子の破壊によって総計690個の遺伝子の発現が影響を受けることが明らかとなった。中でも土壌で生育中にキチンによって転写誘導がかかる抗生物質生産関連遺伝子群の発現がdasR遺伝子破壊株で高まることから、dasRがこれら遺伝子群の発現を負に制御していることが明らかとなった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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