今年度は得られたミヤコグサ(Lotus japonicus Miyakojima)由来のアーバスキュラー菌根(AM)共生特異的変異株について、原因遺伝子のマッピングと表現型解析を行った。変異株のうち、2株(ME823、ME966)についてはマッピングによる解析を進めると同時に、ほとんど解析を行っていない変異株の中からより解析に適した株の選抜を行った。変異株のM3またはM4世代とGifuと交配したF2種子を用いてラフマッピングおよび一部ファインマッピングを行った。AM菌胞子(Glomus intraradices(PremierTech))を接種するか、一度ネギ属のチャイブに感染させてそれを菌根菌接種源として用いる方法(ナースプラント法)による接種も試みた。グロースキャビネットで2-4週間栽培後にAM菌の感染を確認し、低感染あるいは非感染の株を選抜した。葉DNAを抽出し、既報のSSRマーカー用いた連鎖解析を行った。また、Miyakojimaと戻し交配を行ったF3株について、AM共生と根粒共生の表現型を確認した。 マッピングを行った結果、ME966の原因遺伝子の位置を約0.6cMの領域まで絞り込むことができた。戻し交配F3世代における表現型は、ME966とME778はAM共生成立過程の前期に異常が見られ、ME823は野生株と比べ低感染率であることがわかった。新たに解析を進めた変異株のうちME2329は、ME966やME778と異なり樹枝状体形成に異常が見られ、解析を優先し進める候補株の一つとした。
|