研究課題/領域番号 |
21380052
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小島 知子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・草地管理研究領域, 主任研究員 (70355080)
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研究分担者 |
斎藤 勝晴 信州大学, 農学部, 准教授 (40444244)
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キーワード | ミヤコグサ / 菌根菌 / 共生変異 / マッピング |
研究概要 |
ミヤコグサ(Lotus Japonicas Miyakojima)由来のアーバスキュラー菌根(AM)共生特異的変異株について、原因遺伝子のマッピングと表現型解析を行った。変異株のうち、4株(ME823、ME778、ME966、ME2329)変異株のM3またはM4世代と野生型ミヤコグサGifuと交配したF2種子を用いてラフマッピングおよび一部ファインマッピングを行った。今年度は、接種方法を再検討し、AM菌胞子(Glomus intnanadices(PremierTech))を接種した砂耕による栽培で変異株を選抜した。葉DNAを抽出し、既報のSSRマーカーを用いた連鎖解析を行った。また、Miyakojimaと戻し交配を行ったF3株について、AM共生と根粒共生の表現型を確認した。ME823についてGifuと交配したF3世代で表現型の再確認を行ってマッピングの結果を確認し、第5染色体上の12-15cMの近傍に、ME2329はF2世代でのラフマップで第4染色体に原因遺伝子があることが確認された。ME966については、原因遺伝子は2番染色体の南側にマップされ、新規の共生関連遺伝子と考えられた。ME966変異体は、菌根菌の菌糸は植物の表皮細胞間に侵入するが、1層内側の皮層に侵入する手前で、菌糸の先端が膨らみ、表皮細胞間で菌糸伸長が停止していた。ME2329の感染率は野生株と変わらないか低めだが、樹枝状体形成に異常があることが観察された。ME778、ME966、ME2329の変異体の根粒数は、野生型に比べ若干少ないものの有意な差はなく、感染細胞やバクテロイドの形態、感染糸形成にも野生株との違いは見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
選抜された共生変異株における菌根菌の感染に関する変異の表現型は根粒形成に関する共生変異株と比べ、栽培条件や接種菌株の状態などにより、変異の表現型の種類にもよるが、不安定な状態になることがある。そのため、安定した変異の表現型を得る条件を検討するのに予想以上に時間がかかった。また、ME966のファインマッピングについては、原因遺伝子がゲノム配列の決定されていない領域に存在するため遺伝子同定が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
解析を優先する変異株を絞ることができたので、最終的な原因遺伝子の決定を行うことを目標にしつつ、まだ解析を行っていない系統の表現型解析を進め、顕微鏡観察レベルで変異の作用点を明らかにする。さらに原因遺伝子の決定や遺伝子の発現解析など、ミヤコグサの研究の権威である他の研究機関との共同研究などを行いながら、本研究を進める。
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