ミヤコグサ(Lotus japonicus MG20)由来のアーバスキュラー菌根(AM)共生特異的変異株について、原因遺伝子のマッピングと表現型解析を行った。変異株3株(ME778、ME966、ME2329)と野生株L. japonicus B-129と交配したF2種子を用いてマッピングを行った。AM菌胞子(Rhizophagus irregularis DAOM197198)を接種し、培土にはバーミキュライトまたは川砂を用いた。栽培約4週間後にポットを解体し、染色した根を実体顕微鏡にて観察し、低感染または非感染の株を選抜した。葉DNAを用い、各染色体について4~9のSSR マーカーで連鎖解析を行った。L. japonicus MG20と戻し交配を行った自殖のF3世代で、根粒形成および菌根形成の詳細を確認した。 F3世代での菌根形成を共焦点レーザー顕微鏡などで観察した結果、ME778とME966は皮層細胞や表皮細胞で侵入が阻害され、一度侵入すると野生型と同様に樹枝状体を形成することが観察された。ME2329株は野生株と比較し感染率はほぼ同じか低めであった。特に、樹枝状体形成に異常が認められ、野生株と比べ樹枝状体の形成率が低く、トランク菌糸は形成されるがそこから分枝するファインブランチの形成に異常が見られた。ME966の根粒形成は野生型に比べて遅れる傾向にあったが、ME966は野生型に比べて生育速度が遅く、根粒形成の遅延は生育の遅さによる二次的な影響と考えられた。マッピングにより、ME2329の原因遺伝子は4染色体の南側に、またME778は第2染色体上にあることがわかったが詳細な位置は判別不可能であった。ME966の位置は第2染色体の南側に絞られていたが、菌根表現型の不安定さによりさらなる絞り込みが困難であった。菌根表現型を次世代で評価することでマッピングの正確性を高めた。
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