・Paracoccus sp. 43P株のL-glucose代謝機構を推定するため、メタボロミクス的手法を用いた解析を計画し、サンプル調製に適した培養条件を各種検討した。同解析では細胞を飢餓状態にさらした後にL-グルコースを添加して、経時的に代謝産物を同定していくことが必要であったが、本菌株は飢餓条件にさらすとすぐに溶菌してしまうため、適切な培養条件を設定することは不可能であった。そのため、メタボロミクス的解析については断念することとした。 ・昨年度の解析で同株のL-glucose代謝の第1段階を触媒するL-glucose dehydrogenaseを見出したが、同酵素の反応産物であるL-gluconateを基質とした酵素活性の検出を行ったところ、NAD^+依存的なL-gluconate dehydrogenase活性を同株の細胞抽出液より見出した。そこで、同酵素の精製と遺伝子のクローン化を行い、酵素学的な解析を行った。その結果、同酵素はL-gluconateに特異的な酵素であることが明らかになった。 ・L-glueonate dehydrogenase遺伝子の周辺領域を解析したところ、同遺伝子はL-glucose代謝に関連すると推定される遺伝子群とクラスターを形成していることが明らかになった。次年度はこの遺伝子群の機能解析を行う予定である。
|