研究課題/領域番号 |
21380057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西山 真 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (00208240)
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研究分担者 |
富田 武郎 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (50447364)
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キーワード | リジン生合成 / キャリアタンパク質 / X線結晶構造解析 / フィードバック阻害 / ホモクエン酸合成酵素 / アスパラギン酸キナーゼ |
研究概要 |
Thermus thermophilusのホモクエン酸合成酵素(HCS)の基質結合複合体、反応産物複合体、フィードバック阻害型複合体の結晶構造を決定すると共に、それらの結合に関わるアミノ酸残基の改変を通じて、反応機構と共にダイナミックな構造変化を解析した。その結果、基質の2-オキソグルタル酸とは化学構造の異なるリジンを基質結合部位の側鎖の再配置することで基質結合部位にほぼ同じように結合していることが分かった。また触媒ドメインに続くC末ドメインは大きく構造を変え、そこから提供する活性中心残基を遠ざけて配置することが明らかになった。LysWタンパク質は、T.thermophilusのリジン生合成において、中間体の修飾、および生合成の効率的に促進させるための特異的な足場形成という2つの主要な機能を持つ。LysXはATP依存的にαアミノアジピン酸(AAA)のアミノ基にLysWタンパク質C末端のグルタミン酸側鎖との縮合を触媒する。AAAの代わりにグルタミン酸を用いて反応を行ったところ、ほとんど縮合は認められなかったことから、LysXはAAAに高い特異性を示すことが明らかとなった。昨年度、LysZ/LysW-AAA複合体の結晶化に成功しており、本年度はデータの精密化を行った。LysWの球状ドメインとLysZが静電相互作用により相互作用することが明らかとなった。この結晶構造では、LysWのC端ドメインおよびAAAは活性中心とは離れた位置に存在しており、結晶からは基質認識機構の詳細は分からなかった。そこで、モデリングにより両タンパク質の相互作用を予想した。LysZの改変体を作製し、それとLysWとの反応性を調べたところ、モデリングの結果を支持する結果が得られている。Corynebacterium glutamicumのリジン生合成の鍵酵素CgAKについては、その結晶構造解析、および改変体の機能解析から、複数ステップによるフィードバック阻害機構のほぼ全容を明らかにすることに成功した。
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