研究課題/領域番号 |
21380057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西山 真 東京大学, 生物生産工学研究センター, 教授 (00208240)
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研究分担者 |
富田 武郎 東京大学, 生物生産工学研究センター, 助教 (50447364)
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キーワード | リジン生合成 / ロイシン生合成 / 超好熱性古細菌 / アルギニン生合成 / 機能分化 |
研究概要 |
リジン生合成およびロイシン生合成の初発酵素HCSおよびLeuAはフィードバック阻害を受け、C末端の領域が阻害に関わることが知られている。超好熱性古細菌Sulfolobus acidocaldariusのゲノムを解析したところ、3つのHCSホモログが見出された。Saci_0940はC末端にドメインが付加していない構造、Saci_1304は低分子を結合する可能性があるRAMドメインをC末端に、Saci_2325はLeuAのC末ドメインと類似したドメインをやはりC末にもっていた。Saci_0940はロイシン生合成初発反応を触媒することを確認した。Saci_1304は全長での発現ができなかったが、C末端ドメインを欠失したものはリジンの生合成初発反応を行うことができた。現在、Saci_2325の活性の検出を行っている。 一方、S.acidocaldariusのゲノム上には、T.thermophilusのリジン生合成遺伝子クラスターと類似のクラスターが見出される。その一方でアルギニン生合成だけに関わると思われる遺伝子が他に存在しないことから、この遺伝子クラスターの多くはリジンとアルギニン(オルニチン)の両方の生合成に関わっていると考えられた。さらにもう1つのLysXホモログ遺伝子がオルニチンからアルギニンへの生合成に関わる酵素遺伝子クラスターに存在する。よって、2つのLysXホモログ(Saci_0754およびSaci_1621)が機能分化をし、リジン生合成とアルギニン生合成に関わり、LysWホモログは両方の生合成に関わっていると考えられた。予想通り、Saci_0754はAAAを基質とし、Saci_1621はグルタミン酸を基質とすることが明らかとなった。実際に、これらの3つの遺伝子を破壊したS.acidocaldariusを作製し、その栄養要求性を調べたところ、Saci_0754の破壊がリジン要求性に、Saci_1621がアルギニン要求性を、LysWホモログ(Saci_0753)の破壊はリジンおよびアルギニン要求性を示した。現在、Saci_1621とSaci_0753の両オルソログの複合体の結晶化に成功し、回折データをもとに構造の精密化を行っている。
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