研究課題/領域番号 |
21380062
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研究機関 | 石川県立大学 |
研究代表者 |
熊谷 英彦 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (70027192)
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研究分担者 |
片山 高嶺 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (70346104)
小柳 喬 石川県立大学, 生物資源環境学部, 助教 (20535041)
松井 裕 石川県立大学, 生物資源環境学部, 客員教授 (40336730)
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キーワード | アミノ酸脱炭酸酵素 / 乳酸菌 / 芳香族アミン / 石川県産発酵食品 / Pseudomonas属細菌 / L-ドーパ / Enterococcus 属細菌 / Lactobacillus 属細菌 |
研究概要 |
前年度までに芳香族アミノ酸脱炭酸酵素遺伝子を取得し、大腸菌組換え酵素について機能解析を行ってきたPseudomonas属細菌(1種)およびEnterococcus属細菌(2種)に加えて、今年度は石川県の伝統発酵食品から単離した乳酸菌群の中から芳香族アミノ酸脱炭酸活性の高い株を選抜した。その結果、新たに5株の乳酸菌(Lactobacillus brevis, L.curvatus,およびE.faecalisに属する菌株群)に極めて高いチロシン脱炭酸活性を見出した。これらの株について、コンセンサス配列をもとに作製したプライマーを用いて該酵素遺伝子群のクローン化および塩基配列解析を行うことに成功した。乳酸菌の芳香族アミノ酸脱炭酸酵素は極めて不安定であり、前年度までに取得した酵素については未だX線結晶構造解析に向けた良質の結晶が得られていない。そこで、これら新たに得られた酵素群の発現用組換え体を現在作製中であり、今後精製・結晶化し、高次構造の解明に使用するべく研究を推進している。 また、該当する乳酸菌群は発酵食品中において時に有害となるアミン類を多量に生成する可能性があるため、各株を用いて発酵乳等を作製し、そのアミン含量も追跡した。その結果、チロシン脱炭酸酵素の有無と食品中のチラミン含量に高い相関があることを見出している。 加えて、Pseudomonas属細菌由来酵素を大腸菌に大量発現させ、菌体ベースでの芳香族アミンの生産も試みた。その結果、ドーパおよびチロシンの添加培養によりドーパミンおよびチラミンが培地中へ生産されることを確認している。しかし、芳香族アミンは酸化重合等の影響を受けやすいなど不安定であり、現在10%程度の収量しか得られていない(ドーパ→ドーパミンの場合)。今後はさらに培地条件・発酵条件の検討を進め、高生産条件を確立する予定である。
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