研究課題
(1) Tk-SPの構造形成機構と成熟化機構の解析:Tk-SPの成熟化機構を明らかにするために、活性が大きく低下した活性中心変異体Tk-S359Cやその前駆体(Pro-Tk-S359C、ProC-Tk-S359C)、さらには成熟体から切り離されたプロペプチド(ProNとProC)を構築し、それらの諸特性を解析した。その結果、ProNは細菌由来サチライシンやTk-サチライシンのプロペプチド同様成熟体の阻害剤として働くこと、最初にPrON切断され、ProC-Tk-S359Cと不活性な複合体を形成すること、Tk-SPではなく、Tk-SPにProCのつながったProC-Tk-SPが本来の成熟体であることを明らかにした。(2) Tk-サチライシンのタンパク工学的機能改変:ランダム変異とカゼインプレートアッセイ法によるスクリーニングを組み合わせた進化工学的手法を用いることにより、成熟化速度の向上した変異体E61KおよびL69Pを取得することに成功した。いずれもプロペプチド領域に変異を有していた。また、基質結合部位の入口をひろげるような変異を導入することにより、タンパク質基質(アゾカゼイン)に対する活性が約2倍に向上した変異体P238Gを取得することに成功した。(3)プロテアーゼの新たな利用法の開発:Tk-サチライシンが、プリオン病に感染したマウスの脳ホモジネート中の異常プリオンを分解することを明らかにした。また、分解条件を検討することにより、Tk-サチライシンは、3%SDS存在下、100℃の条件であれば5分程度の短時間で異常プリオンを分解できることを確認した。さらに、Tk-サチライシンは既存のプリオン分解酵素であるPrionzymeより非常に高いプリオン分解活性を有することを明らかにした。
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