研究課題
(1)Tk-subtilisinの耐熱化機構の解析:Tk-subtilisinはCa^<2+>イオンを7個(Ca1-Ca7)含む。このうちCa1、Ca6、Ca7が本酵素の耐熱化に寄与することを明らかにした。特に、Ca1は本酵素を27℃も安定化することを明らかにした。(2)Tk-SPの成熟化機構の解析:Tk-SPはプロ体として分泌された後、プロペプチドの自己切断、分解により成熟化する。Tk-SPはサチライシンドメイン、βジェリーロールドメイン、C末端ドメインから成る。C末端ドメインを欠失したTK-SP変異体(Tk-SPΔC)とC末端ドメイン(Cドメイン)をそれぞれ発現、精製し、諸特性を解析することにより、C末端ドメインはCa^<2+>イオン存在下でTk-SPの安定化に寄与することを明らかにした。(3)Tk-subtilisinとTk-SPの効率の良い生産法の開発=PelBリーダー配列をプロ体あるいは成熟体のN末端に付加することにより大腸菌ペリプラズムへの分泌を試みたが、いずれもペリプラズムには分泌されないことを明らかにした。Tk-subtilisinは菌体内でインクルージョンボディを形成し、Tk-SPは発現しなかった。(4)Tk-サチライシンのタンパク工学的機能改変:プロペプチドの疎水性コアを形成するPhe17をHisに置換することによりプロペプチドが大きく不安定化することし、またその結果.Tk-subtilisinの成熟化速度が向上することを明らかにした。従って、プロペプチドの安定性を制御することで、Tk-subtilisinの活性や安定性に影響を与えずに、より温和な条件下で成熟するTk-subtilisinの開発に成功した。(5)Tk-subtilisinの新たな利用法の開発:Tk-サチライシンによるプリオン分解産物をマススペクトルで同定することを目的として、マウス脳に微量に存在するプリオン蛋白質の免疫沈降法による精製を検討した。その結果、Tk-サチライシンによるプリオン分解産物を同定するためには少なくとも数十匹のマウスの脳ホモジネートが必要であることがわかった。
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FEBS J.
巻: 278 ページ: 1901-1911