研究課題/領域番号 |
21380066
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊東 信 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40253512)
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研究分担者 |
角田 佳充 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00314360)
沖野 望 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (90363324)
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キーワード | スフィンゴ脂質 / 糖脂質 / 代謝酵素 / X線結晶構造解析 / 生物機能 / セラミダーゼ |
研究概要 |
スフィンゴ糖脂質(以下糖脂質)は、主として形質膜表層で脂質ラフトと呼ばれるマイクロドメインを形成し、様々な細胞機能を制御している。また、糖脂質やスフィンゴミエリンの代謝産物(セラミド、スフィンゴシン、スフィンゴシン-1-リン酸)は、種々のシグナル伝達系のメディエーターとして機能している。このような観点から、糖脂質・スフィンゴ脂質及びそれらの代謝酵素は医薬、機能性食品、化粧品、機能性素材の開発ターゲットとしても注目を集めている。本研究は、申請者らが発見したスフィンゴ糖脂質代謝酵素のX線結晶構造、触媒機能、生理機能を解明するとともに、それらの触媒機能と特異性を利用した、糖脂質の新しい微量定量法、細胞表層糖脂質の機能解析法の開発を目的としている。 本年度は、セラミドに作用しスフィンゴシンと脂肪酸を遊離する酵素セラミダーゼおよび糖脂質とスフィンゴミエリンに作用して、それぞれのリゾ体と脂肪酸を遊離するスフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼのX線結晶構造とその触媒機構を解明することが出来た。両酵素は、スフィンゴ脂質の酸アミド結合を加水分解する酵素であるが、興味深いことに、両酵素とも触媒部位に亜鉛を持つ金属酵素であった。セラミダーゼの場合は、触媒部位の亜鉛によって水分子からプロトンが引き抜かれ、活性化されたヒドロキシイオンがセラミドのカルボニンル炭素を求核攻撃し、隣接する酸アミド結合を開裂する触媒機構を提案した。セラミダーゼの場合は、C2-セラミドとの共結晶から触媒機構が明らかにされることが出来たが、スフィンゴ脂質セラミドN-デアシラーゼの場合は詳細な反応機構を解くためには、さらに基質との共結晶の構造を明らかにする必要がある。 一方、6-ガラ系列糖脂質に特異的に作用するEGALCの糖鎖転移反応と蛍光基質を用いた6-ガラ系列糖脂質の微量定量法を開発した。こうの方法を用いて、海藻に特有に存在するフィトール骨格を持つ新奇の6-ガラ糖脂質を見出し、NMR,MS等を用いてその完全構造を明らかにした。
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