研究概要 |
CYP105A1による新規ビタミンD誘導体の生産 CYP105A1の二重変異体R73V/R84A遺伝子を放線菌S. lividans菌体内で発現誘導した。基質ビタミンD_3(VD_3)を添加し、得られた代謝物をHPLC分析したところ、25D_3, 1α, 25(OH)_2D_3(活性型VD_3)以外に未知代謝物が生成した。LC-MS、 ^<1>H-NMR分析結果などからこの代謝物は活性型VD_3がさらに水酸化された1α, 25, 26(OH)_3D_3であることがわかり、26R(OH)体と26S(OH)体を5:1の割合で含むことがわかった。これらは強い細胞増殖抑制作用と弱いカルシウム作用を示し、癌治療薬への応用が期待されるため、特許出願した。 新規ビタミンD誘導体の評価 2α位に置換基を有する種々のビタミンD誘導体を合成し、その性質を調べたところ、その中で14epi体について特筆すべき成果が得られた。特に、14-epi-Mart10はビタミンD受容体への親和性が1α, 25(OH)_2D_3の約4分の1であるにもかかわらず、種々の生物活性において、1α, 25(OH)_2D_3よりもはるかに優れていることが明らかになった。CYP24A1による代謝を調べたところ、1α, 25(OH)_2D_3よりもはるかに代謝を受けにくく、効果が持続することに依ると考えられる。
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