研究概要 |
CYP105A1による新規ビタミンD誘導体の生産と抗癌作用の評価 昨年度報告したようにCYP105A1の変異体が生産する代謝物は1α,25,26(OH)_3D_3であることがわかり、26R(OH)体と26S(OH)体を5:1の割合で含むことがわかった。ヒト前立腺由来培養細胞を用いてこの代謝物の細胞増殖抑制作用を評価したところ、活性型ビタミンDとして知られる1α,25(OH)_2D_3よりも強い作用を示し、癌治療薬への応用が期待される。 新規ビタミンD誘導体合成と生物活性の評価 2α位置換体である2α-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-ビタミンD誘導体(MT-1)と2α-[(2R)-2-ヒドロキシプロポキシ]-VD誘導体(MT-3)、およびそのS体であるMT-2、MT-4を合成した。ヒトCYP24A1に対する代謝効率を調べたところ、いずれもきわめて代謝されにくく、生体内半減期の長いリガンドであることが示唆された。All-trans-レチノイン酸(ATRA)耐性ヒト前骨髄球性白血病細胞株におけるATRAとの併用の有効性を検証した。ATRAと併用処理した細胞では増殖抑制とともに分化誘導が認められ、本研究で使用したCYP24A1耐性VD誘導体は、生体内半減期の短いVDに比べ投与量・投与回数を低減することが可能であり、より副作用の少ない治療法の確立に寄与するものと考えられる。
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