研究課題
溶液中、並びに、基板上で形成されたLOX-1オリゴマーの安定性を確認した所、溶液状態ではダイマーとして安定に存在し、オリゴマーの形態を維持することはなかった。しかし、オリゴマー形成能は数ヶ月を経ても変化していなかった。一方、基板上に高密度で固定化されたLOX-1は、乾燥条件下で数ヶ月以上保存してもリガンド認識能を維持していることが明らかとなった。このことは、再構築LOX-1固定化プレートを検出・評価系として活用する際にメリットとなり得る。さらに、22年度までにLOX-1リガンドとしての機能が明らかにされた4-hydroxy-2-nonenal(HNE)一Histidine付加体(酸化的修飾に伴う脂質過酸化反応の結果生成するアルデヒドによりLDLを構成するApoBタンパク質が修飾を受けて生じる)などが、固定化LOX-1と抗HNE-Histidine抗体を用いたサンドイッチELISAにより酸化LDLの総量と同時に検出可能なことが確認された。このことは、再構築LOX-1を用いて、酸化LDLの修飾状態を解析可能なことを意味する。続いて、高コレステロール食の投与により脂質異常症を誘導させた病態モデルマウスの血清を対象に、酸化LDL様活性を示す分子の検出を試みた。その結果、脂質異常症を示す値の上昇に伴い、再構築LOX-1固定化プレートによる酸化LDL様活性の検出値も増大していくことが確認された。さらに、HNE-Hlstidine付加体を中心に、脂質過酸化反応により生成する複数のアルデヒド付加体の同時検出を試みたところ、マロンジアルデヒドなどの脂質異常症のマーカーとして活用されている分子の同時検出も可能であることが明らかとなった。以上から、再構築LOX-1固定化プレートの活用により、病態の進展に伴い生体で生成する酸化LDLの修飾状態に関する情報も同時に取得可能なことが示された。
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