研究課題
マイコパラサイトLambertella corni-marisは、寒天培地上でMonilinia fructigena(ホスト)に侵入、競争阻害を引き起こすことなく駆逐してしまう。これまで、パラサイトが生産する抗菌物質に注目し、新規スピロブテノリドlambertellol類を単離構造決定した。最近成功したlambertellolの全合成は化学的に安定な人工誘導体の供給を可能にし、それらを用いた生物検定の考察から、「パラサイトは、ホストを検出することにより、拡散性の高いlambertellolを生産し、これらがホストに到達後、毒性の高いlambertellinに変化しダメージを与える。」という、これまでの生物間コミュニケーションには例のない巧妙な機構を提出するに至った。しかし、化学的に安定なlambertellinは、不安定なlambertellol類の分解物であるにも関わらず、lambertellolに比べ常にマイナー成分になっているなど不明があった。当該年度の研究では、lambertellolを生産するLambertella corni-marisも、lambertellinにより強く阻害されることを明らかとした。興味深いことに、培地中での加えたlambertellinの量は速やかに減少し、本阻害を確認するためには数時間ごとにlambertellinを追加する必要があった。種々検討の結果、Lambertella corni-marisは、自身の生産分解物であるlambertellinの示す毒性への対応として、生分解する方法を獲得していると結論した。
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