研究課題
テトロドトキシン(TTX)は、フグ中毒原因物質としてよく知られるが、海洋ではカニ、ヒトデ、貝など、陸上ではイモリ、カエルなど広範な生物に分布する。毒の細菌による生産が報告され、食物連鎖によりフグなど高次の生物へ毒が移動して蓄積すると考えられている。しかし、その生合成および代謝経路は明らかではない。本研究の目的は、新規テトロドトキシン抗体を調製し、さらにテトロドトキシン生産微細生物を探索することを目的とする。(1)新規TTX抗体の作製と評価TTXの11位のヒドロキシメチル基をアルデヒドに酸化して11-oxoTTXとし、マレイミドとヒドラジドの両方を有するリンカーを結合して、蛋白質のアミノ基に導入したチオールを反応させて、蛋白質-TTX複合体を作製することに成功した。この方法で作製した抗原2種を用いて、ウサギでポリクローナル抗体を作製したので、本年はまずその抗体の評価した。ELISAによる抗体価が確認され、TTXを用いた競合ELISAによりTTXを認識することを確認した。また、抗血清を精製してIgGとした場合やさらにTTX-affinity gelを作製して、それを用いて精製した場合に、特異性が向上した。(2)4,9-anhdroTTXの各種求核剤との応と生成物の確認および自然界での存在の有無の調査4,9-anhydroTTXはチオールと反応することは既に報告したが、他の求核剤とも反応して、その修飾体として自然界に存在するために、発見できない可能性がある。そこで、チオールの他にも可能性のある求核剤をいろいろと試してみて、亜硫酸が反応することを明らかにした。亜硫酸化TTXはまだ自然界からは見つかっていない。亜硫酸化TTXのNa^+チャネル阻害活性は、Neuro2Aを用いた系で測定し、TTXに比べて活性が非常に低いことを明らかにした。
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