研究概要 |
本研究課題では、まず、Streptomyces melanosporofaciens MI614-43F2由来の5-8-5員環構造を有するジテルペン化合物、シクロオクタチン生合成遺伝子クラスターのクローニングとS.albusでの異種発現に成功し、サイクロオクタチン生合成経路を解明した。シクロオクタチン生合成遺伝子クラスターは4つの遺伝子、cotB1-4からなり、その中に見出されたCotB2は、シクロオクタット9-エン-7-オールを合成する新規なジテルペン環化酵素であることを明らかにした。続いて、二つのシトクロームP450の機能解析を行い、CotB3はシクロオクタット9-エン-7-オールの5位に水酸基を導入してシクロオクタット9-エン-5,7-ジオールを合成すること、次いで、CotB4がシクロオクタット9-エン-5,7-ジオールの18位に水酸基を導入しシクロオクタチンを合成することを明らかにした。また、Streptomyces sp.KO-3988株の生産するフラキノシンの生合成遺伝子、Fur7の基質の同定と生合成中間体の取得にも成功した。まず、Fur7の生理的な基質を得るためにfur7破壊株を作製した。次に、fur7破壊株の培養上清とFur7を反応させ反応前後の溶液をHPLC、LC-MSで分析した。その結果、該培養上清に存在した分子量234の化合物が減少し分子量370の化合物が生成していた。そこで大量培養により2Lの培養液から約0.2mgのFur7の基質と考えられる化合物を単離しNMRを用いて2-メトキシ3-メチルフラビオリンと構造決定した。さらにこの2-メトキシ3-メチルフラビオリンとFur7を反応して得られた反応産物をfur7破壊株に与えるとフラキノシンの生産が回復したことから、本反応産物が真にフラキノシンの生合成中間体であることを証明することができた。
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