研究課題
本年度はまず、鞭毛タンパク質フラジェリンによる特異的なPTI免疫反応の誘導機構について調べた。昨年までに、フラジェリンによる特異的免疫反応誘導には、フラジェリンに存在する糖鎖構造が関与することを明らかにした。そこで、免疫反応を誘導するK1フラジェリンの糖鎖結合位置を調べたところ、178、183、212番目のSerと351番目のThrに糖鎖が付加されており、免疫反応を誘導しないN1141フラジェリンでは178、183、351番目のThrに糖鎖が付加されていることを明らかにした。これらの糖鎖付加部位のうち、K1フラジェリンの178番目または183番目のSerに付加する糖鎖が免疫反応誘導の特異性に関与することが明らかになったので、フラジェリン糖鎖の構造を調べたところ、N1141フラジェリン糖鎖は、4N(アセチルサルコシン)と2つのラムノースで構成されており、K1フラジェリン糖鎖は4,6-ジデオキシグルコース4N(2,3-ジヒドロキシプロパノイル)-2-0-メチルと2つのラムノースで構成されていた。このことは、非還元末端の構造の違いが免疫反応誘導の特異性を制御することを示す。また、このフラジェリンの特異的認識に関与する受容体についても解析した。昨年までに受容体候補として同定したFIiRK2遺伝子の欠損イネを作製したところ、このイネはフラジェリン認識能を示さなかった。この認識能は、FliRK2の発現によって相補されたことから、このFliRK2がフラジェリンの認識に関与することが初めて明らかになった。また、イネのETI免疫反応の誘導機構についても検討を行った。その結果、Acidovorax avenaeからETSと名付けたETIを誘導するエフェクター分子を同定すると共に、この分子がイネに存在するEFTBPという受容体に結合することでETI免疫反応を誘導していることを明らかにした。
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