研究課題
本年度は既に開発した肝臓特異的なノックアウトマウスを繁殖させた。通常の条件では野生型とノックアウトマウス間で生殖能、成長、運動能力等に差は認められず、肝臓特異的ER-60のノックアウトは致命的な影響を動物に与えないことが明らかとなった。雄9週齢の野生型あるいは肝臓特異的ノックアウトマウスに4週間あるいは30週間高脂肪食を与えた。4週間摂取では、ノックアウトマウスの血中トリアシルグリセロール量が野生型に比して有意に低いことが明らかとなった。30週間高脂肪食摂取では、ノックアウトマウスで体重の増加が野生型より低い傾向があった。しかし、血中の肝障害及び脂質代謝パラメーターにはほとんど差がなかった。さらに、肝重量、脂肪肝の程度、グルコース負荷後の血中グルコース取り込み能も両動物で有意な差は見られなかった。これらの結果から、肝臓でのER-60の欠損は高脂肪食ストレス下で決定的な影響を与えないことが明らかとなった。ER-60は糖タンパク質のジスルフィド結合形成を行うプロテインジスルフィドイソメラーゼファミリーであることが明らかにされてきたが、本結果は肝臓ではER-60に代替して作用する他の機構が存在することを示唆している。さらに、アデノウイルス随伴ウイルスを用いたER-60ノックダウン系の構築を行った。本系は成長したマウスに使用可能であるため、代替機能の発達がない条件でのER-60欠失の影響の解析が可能となった。
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