研究課題
本研究は、操作実験流域を主なフィールドとして、森林や林地の変化による物質動体への影響を、地下部・根系との関係もふくめて明らかにしようとするものである。本研究の最終年度にあたる平成23年度の主な取り組みと成果は以下のようである。1.単木ごとの根系掘りお越し調査を継続するとともに、15m×15m×深さ70cmの掘り起し調査のデータとの統合により、針広混交の天然林における炭素貯留量のまとめを行った。地表下70cmまでに存在した樹木とササ根系の総体積は1.43%であり、ササ根系の炭素量は2.4t/ha・樹木根系27.2t/ha・土壌中124.0t/hで、地中部の総炭素貯留量はa153.6t/haとなった。地上部の炭素貯留は樹幹部68.0t/ha・枝葉38.1t/ha・ササ地上部2.6t/haであり、地上部の総炭素貯留量は108.7t/haとなった。2.天然林の伐採とカラマツ植栽に関するCO2フラックス観測の継続により、森林伐採後の8年目から、わずかではあるが炭素の吸収に転じることが確かめられた。原生状態においては少量の炭素吸収状態にあり、伐採後の2年間は大きな放出に転じ、3年目以降は徐々に放出量を減じながら、8年目以降は吸収に戻ることになる。また、森林の喪失や植栽木の成長初期段階においては、復活したササ群落の吸収力が大きく働き、炭素や窒素の移動・流出を抑制していることが明らかになった。3.森林伐採および表土除去(埋戻し)試験流域の観測の継続から、表土部分を中心に窒素の無機化や硝化が行われることから、表土の除去により一時的に窒素の流出が減少することが確かめられた。また、除去した表土の埋戻しでは、硝酸の生成が活発な土壌の散布と根系の枯死で吸収源が極減することにより、窒素の流出が増大する状況が把握された。4.以上の事項を中心とした本研究の成果により、物資動態の緩和を目的とした森林保全の方法を進展させることができた。
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