研究課題/領域番号 |
21380087
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
石田 清 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (10343790)
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研究分担者 |
金指 あや子 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 研究員 (60353645)
菊地 賢 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 研究員 (10353658)
井上 みずき 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (80432342)
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キーワード | 異系交配弱勢 / 希少種 / シデコブシ / 集団間交配 / 遺伝的荷重 / 保全管理 / ヘテロシス / 小集団 |
研究概要 |
希少種を対象とした保全管理のなかでは,遺伝的荷重を軽減するために行われる移植の効果が異系交配弱勢によって減少する可能性があり,その実態の解明が課題となっている。準絶滅危惧種シデコブシを対象として、集団間交配(移植)にともなう弊害となる可能性がある異系交配弱勢の有無を検討した。岐阜県中津川市と土岐市の二集団(大集団)を母樹集団および父樹集団として、集団間交配と集団内交配を行った結果、結実率・結果率ともに集団間交配花と集団内交配花に有意な差は認められず、本種の生活史初期段階においては明瞭な異型交配弱勢が現れないことが示唆された。一方、種子重に関しては、母樹集団と父樹集団の交互作用が有意となり、中津川市では集団内交配と集団間交配の間に明瞭な差は認められなかったが、土岐市では集団間交配の方が集団内交配よりも小さな値を示した。この結果から、土岐市の集団でのみ種子重に異型交配弱勢が生じたものと推定され、種子重に現れる異型交配弱勢に母樹の効果が関与しているものと考えられた。さらに、三重県四日市市の孤立小集団を母樹として同一集団(集団内交配)および岐阜県瑞浪市と中津川市の集団を父樹とする交配(集団間交配)を行った結果、結実率・結果率ともに集団間交配花の値の方が集団内交配花の値よりも高くなる傾向が認められた。この結果は、シデコブシの小集団に関しては、集団間交配によるプラスの効果(ヘテロシス)がマイナスの効果(異系交配弱勢)を上回り、小集団の保全管理に集団間移植が有効となるケースがあることを示している。
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