研究概要 |
一斉開花を起こしたマダケ属モウハイチクならびにオカメザサ属トウオカメザサにおいて、開花からクローンの再生の過程における花成促進遺伝子FTおよび花成抑制遺伝子CENのホモログの発現をリアルタイムRT-PCR法によって解析した。FTホモログはそれぞれ、開花中の葉において最も高い発現量が検出され、モウハイチクでは一斉開花が終了して開花稈が枯死し、薮が回復するにつれ、検出されなくなったのに対して、トウオカメザサでは、開花桿は枯れることなく、3年間にわたり開花を繰り返し、それを裏付けるようにFTホモログの発現量は低下しなかった。他方、CENホモログは開花結実後に発芽した実生や幼若個体、もしくはタケノコの稈鞘や腋芽において単独で発現が検出された。これちは2009年9月にタイ・バンコックで開催された第8回世界竹会議において口頭発表を行った。また、その発表に先立ち、これらの知見は、開花間際のクローンを識別する技術発明として、特許出願を行った。世界に先駆けてタケよりクローニングした花成促進遺伝子ホモログPmFTの最終的な機能を確認するためには、未開花な幼若個体へ強制的に導入し、花成を実験的に誘導する必要がある。このために、まず、GFP遺伝子を目印としたベクターにこの遺伝子を挿入し、4種類のタケ類の葉から効率よくプロトプラストを調整する方法を開発し、エレクトロポレーション法により、GFPベクターを取り込ませ、発現を確認した。また、タケ類に取り込ませた遺伝子をクローン全体に運搬することを可能にするベクターとして、タケモザイクウイルスBaMVをベクター化することを企図し、全6,365塩基からなる完全長cDNAクローンの構築を終了し、タバコにおいて、感染性を持つことを確認した。
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