研究概要 |
1 タケ類の葉からのプロトプラストの調整とGFPベクターの導入および発現確認 単離した花成促進遺伝子PmFTを未開花なタケ類のクローンに導入する準備として、モウハイチク、ミクラザサ、ダイサンチクおよび草本性タケ類の1種リサクネ・パウシフロラの4種のタケの葉からプロトプラストを調整する方法を開発し、論文に発表した。未展開葉の葉鞘に包まれた部分は無菌状態で柔らかいので、約4時間の3%マセロザイム-R10・2.5%メイセラーゼ・2%セルラーゼオノズカを含む酵素処理により、容易に一般的に実験に使用するのに十分な収量(2.0×10^6個/0.3g生葉)のプロトプラストが得られた。FDA染色によるプロトプラストの活性は約83%だった。このようにして調整したモウハイチクのプロトプラストに対して、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターを組込んだGFPベクターおよびGFP::PmFTベクターをエレクトロポレーション法により導入し、18~36時間培養後、RT-PCR法によってそれぞれの発現を確認した。 2 タケモザイクウイルスBaMVのベクター化 花成促進遺伝子PmFTをタケの未開花クローンに導入し、クローンの隅々にまで行き渡らせるのに有効なベクターとして、BaMVのベクター化を企図した。全長6,364塩基からなる1本鎖RNAウイルスを鋳型に逆転写反応によりcDNAを得て、二重鎖cDNAクローンを増幅し、6個の断片に分割したものを順次、カリフラワーモザイクウイルスの35SプロモーターとNOSターミネーターを持ったp35SIV(19)ベクターに繋ぎ合わせ、完全長cDNAクローンを作製した。今後、クローニングサイトを付加しベクターへと改変後、PmFTを挿入のうえ、タバコおよびモウハイチクの未開花クローンへの接種実験により遺伝子の機能を確認する予定である。
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