研究概要 |
2種のタケ;モウハイチクPhyllostachys meyeriおよびトウオカメザサShibataea chinensisの一斉開花~回復過程(2004年2月~2011年)における花成促進遺伝子FTホモログ(PmFT,ScFT)および花成抑制遺伝子CENホモログを単離・塩基配列決定し、各器官における発現をリアルタイムRT-PCR法により解析した(Plant Species Biology,in press)。モウハイチクでは、一斉開花後3年目にはPmFTの発現は消え、開花が終了したのに対して、トウオカメザサでは、一斉開花後数年間ScFTの発現レベルが維持され、前者は一回繁殖型、後者は繰返し繁殖型の生活史戦略を持つこと、両種とも、花序では、FTおよびCENホモログが同時に発現し、二者の発現バランスが花序の形態を決定すること、異なった開花挙動を示すタケ類において、共通に、両遺伝子の発現が見られることから、一斉開花現象が、これらの遺伝子群の上流にあって両者の発現を統括する遺伝子が関与する可能性を示唆した。 未開花なタケのクローンの隅々までPmFTを過剰発現させるために、タケモザイクウイルスBaMVのベクター化を図った。台湾産リョクチクに感染したBaMVの6,365塩基からなる完全長cDNAクローンを構築し、このクローンのORF5の直前にあるサブゲノムプロモーター領域に、マルチクローニングサイトを付加したベクターを作製した。このベクターをパーティクルガン法によりタバコNicotiana benthamianaの苗に接種し、1ヶ月後にRT-PCR法により、感染の有無を調べた。その結果、6検体中の矮生し生長遅滞を示した1試料において、BaMVの増幅バンドを検出した。これらの結果の一部を、2011年7月にメルボルンで開催された第18回国際植物学会議においてポスター発表した。
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