主として調査地の設定と試験地設定に資する苗の育成、必要な遺伝マーカーの開発を行った。 1)散布種子のこ二次的移動 ミズナラ:東京大学富士演習林に調査地を設定した。当初予定のエクスクロージャーは、ノネズミの行動パターンを検討した結果調査に不適と判断し、シードとラッブによる種子の収集に切り替えた。調査地の母樹候補について位置図を作成しマイクロサテライト(SSR)マーカーにより邉伝子型を決定した。ヤチダモ:東京大学北海道演習林内の水辺林に調査地を設定した。初秋にシードトラップを設置し散布種子を回収したほか、河川を流下する種子の回収も行った。また、冬季の種子散布を捕捉するためのシードとラップを考案し設置した。河川環境調査用の水位計も設置してデータを取得中である。調査域内の金ての母樹の位置図を作成した。 2)コホートと遺伝構造 伊豆半島の天城山のブナ-ヒメシャラ林に設定した調査地おいて、全てのヒメシャラの年齢を、成長錐を用いて調査した。その結果同試験地内のヒメシャラの樹齢はほとんど変わらないことが明らかになった。また、DNA分析用の葉のサンプリングを実施してマーカーの開発や遺伝的多様性解析に供した。ヒメシャラの遺伝マーカーとして、有望な複数のSSRマーカーを取得した。 3)個体間競争 平成20年度中に採種しておいた、ウダイカンバ、シラカンバ、ミズナラ、ヒメシャラの種子を用いて実験用苗を育成したが、供しできる十分な苗を得られたのはミズナラのみであった。来年度再度種子採取を行い育苗を継続する。ミズナラについては、移植して家系内競争試験地を設定した。
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