研究分担者 |
山田 利博 東京大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30332571)
福田 健二 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30208954)
清水 将文 三重大学, 生物資源学研究科, 助教 (60378320)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (30324552)
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研究概要 |
ブナ科樹木の萎凋病の病原菌(Raffaelea quercivora)に対するブナ科コナラ属樹種間で感受性が異なるメカニズムを明らかにするため,5樹種の苗木に接種試験を行った.その結果,環孔材でも樹種間で感受性が異なり,道管配列のみが菌糸の伸展に及ぼす影響少ないと考えられた.また,感受性樹種では接種直後にフェノール物質が集積し,その後脂質物質の集積が顕著で,これらが菌糸の伸展を抑制していると考えられた.韓国全土,タイ北部で採集した菌叢がR.quercivora様菌株の分子生物学的な解析では,両菌株とも日本の種と遺伝的に近いことが分かった。 コナラ木部の防御反応によって生成する閉塞物質を直接分析する試みを行った。様々な有機溶媒に溶けない径10μm程度の閉塞物質を直接分析するため,分解能1μmでのIR測定が可能なIR-SNOM(近接場顕微赤外分光装置)を用いた.リグニン呈色反応陽性である閉塞物質から得られた近接場IRスペクトルは,細胞壁成分よりも,抽出成分のタンニン酸に類似したものである事が判明した.今後さらに抽出成分について検討する予定である. ナラ類の葉の内生菌相と里山林のおかれた環境との関係について検討した結果,都市化に伴う林分の孤立化や共存樹種のちがいにより,内生菌相が変化する可能性が示唆された.MRIを用いた樹木萎凋病の非破壊観察手法について検討した結果,ナラ枯れの進展過程については水分分布の変化をとらえることは困難であったが,通水速度の可視化により可能と考えられた.
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