課題1:中国内陸部に生育する耐乾・耐塩性樹木の生理特性解明と浸透調整能に関わる適合溶質の同定 ・中国新疆ウイグル自治区等の中国内陸部や中央アジアのウズベキスタンで、これまでに得られた結果について取りまとめ、学会発表や論文の作成を行った。 さらには耐塩性樹木であるマングローブ調査では、沖縄県の西表島に生育するマングローブ4種について、浸透調節に関わる主要な適合溶質が異なることを明らかになった。また、これらの適合溶質の濃度は一部の種で日中と夜間での変化が認められた。海水域に生育するマングローブで得られた適合溶質に関する知見は、塩分濃度の濃い沿岸域での緑化を行う上で重要であり、乾燥地の塩類集積地での緑化にも適応可能なものであると考えられた。 課題2:適合溶質の誘導による苗木の耐乾・耐塩性向上と植裁モデル実験 ・これまで行ってきた、塩ストレスによる適合溶質の誘導と耐塩性向上、及びアブシジン酸や適合溶質の投与による耐乾・耐塩性向上に関して行った実験結果について、得られた結果を取りまとめ、学会発表や論文作成を行った。これに加え、中国内蒙古自治区での乾燥地緑化に用いられる沙柳や旱柳を用いて塩ストレス実験を行った。結果として、沙柳は旱柳より耐性が強く、両樹種で適合溶質としてのグリシンべタインが検出された。さらに、両種に対し耐乾・耐塩性向上を目的としたジャスモン酸メチルの葉面散布を行ったが、有意な効果は認められなかった。緑化の実戦のための苗木育成と現地植栽に関しては、中国の乾燥地での現地植栽が困難であったことから、沖縄に生育する耐塩性樹木であるマングローブ類を用いた植栽モデル実験に特化して行った。ガラス室での塩ストレス耐性実験と同時に、ストレス前歴を与えて生育させた苗木の沖縄の沿岸で現地植栽も行ったが、ストレス前歴が植栽直後の苗木の生存、成長に及ぼす影響については顕著な効果はみられなかった
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