研究課題
本研究は、モウソウ竹林(以下、竹林と称す)における水循環過程を測定し、竹林が水資源涵養や水土流出に与える影響を総合的に評価することを目的とした。平成23年度の研究実績は以下の通りである。1.蒸散量について他の温帯の森林と同様に、竹林の群落コンダクタンスは基本的に飽差に依存し、2次的に日射に依存する。ただし、竹林の葉面積はスギ・ヒノキ林の葉面積より少ないにも関わらず、光飽和条件下では竹林の群落コンダクタンスはスギ・ヒノキ林の群落コンダクタンスの約2倍であった。この結果より、竹林は蒸散量・光合成量が多く、竹林の拡大や針葉樹林への侵入は地域の水・炭素循環を大きく変化させる可能性があることが示唆された。(論文掲載済み)隣接する竹林(タケ:9000本/ha)、竹林が侵入しつつあるスギ林(タケ:4200本/本、スギ:300本/ha)、スギ林(1300本/ha)において蒸散量を測定した結果、4~5月には蒸散量は竹林とスギ林はほぼ同程度で、タケ侵入林が若干少ないが、7月下旬には竹林の蒸散量はスギ林の蒸散量の約2倍になり、竹侵入林の蒸散量はスギ林の蒸散量の約1.5倍になった。これは、7月に入りタケが新葉に変わった後には竹林の蒸散量が増加したことに起因すると考えられた(投稿準備中)2.表面流量について竹林内に地表流観測プロットを6プロット、バイオマットフロー観測プロットを3プロット設置し、観測を行った。地表流の総量はプロットによって異なり、地表流流出率(地表流量/降水量)は、0.6%から35.5%であった。本研究で観測された地表流量は、先行研究におけるヒノキ林のものと比較して明確に小さく、スギ林、広葉樹林と比較しても小さい部類に入った。また、バイオマットフローはほとんど観測されなかった。(論文掲載済み)
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