少子高齢化時代における私有林地の継承と持続的な森林管理手法に関する比較研究

2012 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 21380099
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 佐藤 宣子 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80253516)
• 研究分担者: 堀 靖人 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, 研究員 (80353845) ; 山田 茂樹 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, 研究員 (80353902) ; 古井戸 宏通 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (30353840) ; 山本 美穂 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10312399) ; 三木 敦朗 信州大学, 農学部, 助教 (60446276) ; 興梠 克久 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00403965) ; 川崎 章惠 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30598412)
• 研究期間 (年度): 2009-04-01 – 2013-03-31
• キーワード: 森林 / 林業 / 持続的な森林管理 / 林地相続 / 長期施業受託

研究概要

ノルウェーの森林所有者団体を訪問し、事業内容と森林所有者支援の方法、林地移動の実態と規制策、条件不利自治体による架線集材補助等の林業独自施策について追加調査を実施した。加えて、研究代表者が組織委員長を務めた国際森林研究機関連合（IUFRO）の3.08（小規模林業経営）＆6.08（ジェンダーと林業）の合同研究会において、本研究の成果をシンポジウム基調講演、一般講演等で報告し、国内外の研究者と議論を行った。
その結果、先進諸国では私有林所有者の高齢化、不在村化、林地相続による森林管理意欲の低下が問題となり、世代交代後の所有者への森林・林業教育手法の開発、機械化体系に合わせた施業地の団地化が各国で共通の課題となっていることを把握した。同時に、林地相続の方法は社会・文化条件によって異なっており、フランス全般、およびドイツと日本の一部地域で分割相続慣行があり、林地所有の細分化が進展し、その他の調査地では慣行的に長子への相続が一般的であった。そうした中で、ノルウェーでは1974年に男女を問わず長子優先相続へ、2000年以降は農林地の零細化抑制と所有者の定住義務に関して国民的議論を行ない、他用途利用への転換規制の強化と土地取得後の当該所有地市町村への定住義務規定の短縮・継続という相続法制度が変更されたことを明らかにした。
また、地籍調査の遅れと林業採算性の低下から境界不明森林が増加し、後継者への相続手続きが行われない事態が発生しているが、大分県佐伯地区では素材需要の拡大に伴って素材事業体や中規模森林所有者による林地購入の増加、熊本県天草地区では森林組合による世代を超えた林地包括受託契約の推進、福井県では県単独事業でコミュニティ林業を推進し境界明確化と林業振興策を計っていることを把握し、新たな施策効果と持続的な森林管理の成立条件を家族経営と組織経営に分けて考察した。

現在までの達成度 (区分)

理由

25年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

25年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Post forest reversal discussion : Restructuring public subsidy system for private forests under the differences of topographic conditions in Norway (2013)
  • 著者名/発表者名: Shigematsu A, Sato N
  • 雑誌名: Land Use Policy 巻: 31 ページ: 249-258
  • DOI: 10.1016/j.landusepol.2012.07.002
  • 査読あり
• [雑誌論文] 2000年代の都道府県造林費の変動とその団体間の差異に影響を与えた要因 (2013)
  • 著者名/発表者名: 重松彰・佐藤宣子・溝上展也
  • 雑誌名: 林業経済研究 巻: 59(1) ページ: 72-80
  • 査読あり
• [雑誌論文] 「森林・林業再生プラン」の政策形成・実行段階における山村の位置づけ (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐藤宣子
  • 雑誌名: 林業経済研究 巻: 59(1) ページ: 15-26
  • 査読あり
• [雑誌論文] ドイツにおける新しい森林組合―イザール・レッヒ森林組合の設立とその意義― (2013)
  • 著者名/発表者名: 堀靖人・久保山裕史・石崎涼子・平野均一郎
  • 雑誌名: 林業経済研究 巻: 59(1) ページ: 45-54
  • 査読あり
• [雑誌論文] 木材産業再編期における原木集荷圏の変容：岡山県真庭地域を事例に (2013)
  • 著者名/発表者名: 外山正次郎・川崎章恵
  • 雑誌名: 九州大学農学部演習林報告 巻: 94 ページ: 11-17
  • 査読あり
• [雑誌論文] 林業における資本と土地所有の現段階 (2012)
  • 著者名/発表者名: 三木敦朗
  • 雑誌名: 林業経済研究 巻: 57(1) ページ: 12-18
  • 査読あり
• [雑誌論文] 公的機関による私有林地の取得と管理－宮崎県企業局の「緑のダム造成事業」の意義－ (2012)
  • 著者名/発表者名: 山田茂樹・佐藤宣子
  • 雑誌名: 九州森林研究 巻: 65 ページ: 14-17
  • 査読あり
• [雑誌論文] 「岩窟」の地に生きる知恵－フランス・ボージュ山塊地域自然公園－,フィールドより (2012)
  • 著者名/発表者名: 山本美穂
  • 雑誌名: 林業経済 巻: 65(8) ページ: 29-32
  • 査読あり
• [学会発表] Characteristics and problems of the Japanese forest owners’ association (2013)
  • 著者名/発表者名: Yasuto Hori
  • 学会等名: IUFRO 3.08&6.08 Joint Conference in Fukuoka
  • 発表場所: Kyushu University
  • 年月日: 20130910-20130910
• [学会発表] 小規模私有林の相続実態に関する研究∼熊本県天草地域を事例にして∼ (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐藤宣子, 山田茂樹
  • 学会等名: 第124回日本森林学会大会
  • 発表場所: 岩手大学
  • 年月日: 20130327-20130327
• [学会発表] 日本における林地相続の特徴と林地移動の把握方法～大分県佐伯地域，熊本県天草地域を事例として～ (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐藤宣子, 山田茂樹
  • 学会等名: 林業経済学会研究会ボックス
  • 発表場所: 東京大学
  • 年月日: 20130305-20130305
• [学会発表] 「フランスにおける零細私有林の集団化とCFT（森林憲章）の意義」 (2013)
  • 著者名/発表者名: 山本美穂・古井戸宏通
  • 学会等名: 林業経済学会研究会ボックス
  • 発表場所: 東京大学
  • 年月日: 20130305-20130305
• [学会発表] Group management of private forest in Japan-A case study of North Kanto area- (2013)
  • 著者名/発表者名: Miho Yamamoto, Kawori Sano, Yasuaki Onuki
  • 学会等名: IUFRO 3.08&6.08 Joint Conference in Fukuoka
  • 発表場所: Kyushu University
  • 年月日: 2013-09-10
• [学会発表] Gender relations and the role of women's groups in Japan's forest and forestry sector (2013)
  • 著者名/発表者名: Noriko Sato
  • 学会等名: IUFRO 3.08&6.08 Joint Conference in Fukuoka
  • 発表場所: Kyushu University
  • 年月日: 2013-09-08
• [学会発表] ノルウェーにおける一子相続制度の変遷と森林所有者組合 (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐藤宣子, 重松彰
  • 学会等名: 林業経済学会研究会ボックス
  • 発表場所: 東京大学
  • 年月日: 2013-03-05
• [図書] 林業新時代～「自伐」がひらく農林家の未来 (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐藤宣子, 興梠克久, 家中茂
  • 総ページ数: 調整中
  • 出版者: 農山漁村文化協会
• [図書] 日本林業の構造変化と林業経営体－2010年林業センサス分析－ (2013)
  • 著者名/発表者名: 興梠克久編著、佐藤宣子
  • 総ページ数: 308
  • 出版者: 農林統計協会