研究課題/領域番号 |
21380105
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
平井 卓郎 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20173205)
|
研究分担者 |
澤田 圭 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10433145)
植松 武是 北海道立総合研究機構, 建築研究本部・北方建築総合研究所・環境科学部, 主査 (60462347)
戸田 正彦 北海道立総合研究機構, 森林研究本部・林産試験場・性能部, 研究主任 (60446317)
|
キーワード | 釘1面せん断接合 / 振動台実験 / 調和振動 / ホワイトノイズ / 周波数特性 / 低サイクル曲げ疲労破壊 |
研究概要 |
平成22年度は,以下のような実験を実施した。(1)(a)CN50釘を用いた木材と合板の釘1面せん断接合と(b)CN90釘を用いた枠組壁工法の壁-床接合について、周波数2~7Hz範囲、静的最大耐力の1/3、2/3、3/3相当の入力加速度で調和振動実験を行った。(2)同接合に対し、1~8Hz帯域のホワイトノイズを用いた振動実験(入力加速度レベルは同)を行った。(3)高耐力ファスナー(木ねじの一種)を用いて、CN50釘と同様な調和振動実験を行った。 得られた知見は以下の通りである。 (1)釘接合部の動的応答特性は明らかな周波数依存性を持ち、破壊の生じやすさは入力加速度の大きさ以上に周波数の影響を受ける。危険度の高い周波数は、静的加力において接合部の降伏が進行し、変形が増大した状態に対応する。CN90釘を用いた壁一床接合も同様の傾向を示す。(2)2Hzでは静加力と同様に合板等の破壊が生じるが、3Hz以上では釘の曲げ疲労破壊を生じるという破壊形態の違いがある。曲げ疲労破壊は3Hzで最も生じやすく、周波数が増すほど危険度が減じる。2Hzの場合は曲げ疲労破壊が生じる前に合板等の破壊が生じると考えられる。(3)調和振動よりも地震動に近いホワイトノイズ下では、当然釘の曲げ疲労破壊確率が減少するが、入力加速度が大きくなると、この場合でもこの破壊形態が生じ得る。このことは、実際の地震動においても、現在設計上想定されていない曲げ疲労破壊の危険性があることを示している。(4)近年使用の増えている高耐力ファスナーは静的には釘よりも高い最大耐力を持つが、動的加力下では曲げ疲労破壊を生じやすいため、地震力に対しては、釘に比べ大きな安全率を設定する必要がある。
|