研究課題/領域番号 |
21380106
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
鈴木 勉 北見工業大学, 工学部, 教授 (20125389)
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研究分担者 |
玉井 久司 広島大学, 工学研究科, 准教授 (40106802)
田中 一宏 山口大, 理工学研究科, 准教授 (30188289)
岡崎 文保 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10213927)
斎藤 幸恵 東京大学, 農生科研究科, 准教授 (30301120)
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キーワード | バイオマス / 鉄触媒炭化 / 二元機能ナノ炭素 / 導電性フィラー / 高分子液相吸着能 / 電気二重層キャパシタ / 分離膜 |
研究概要 |
交付申請書研究実施計画記載の(1)Fe触媒500℃炭化中に生成する針葉樹(S)と広葉樹(H)の液体成分の性状分析と燃料品質評価では、S、H共に鉄触媒による低分子量化、脱酸素が効果的に進行し、バイオエタノール配合用燃料として適当であることを明らかにした。(2)SとH由来の850℃Fe炭と900℃Ni炭の粉砕-酸洗浄後の導電性、フィラー性能、電磁波シールド性能調査では、H由来Fe炭が最も高性能で、市販炭素と同等以上であることを明らかにした。(3)SとH由来の500℃Fe炭、Ni炭の適正条件下のKOH賦活は、有機、無機電解液のどちらでも市販活性炭の性能を上回る電気二重層キャパシタ(EDLC)容量を与え、いずれの木材炭素でも高い電極性能を発揮することを確認した。(4)Fe850℃炭の水蒸気エッチングによる高分子液相吸着性能増大はNi900℃炭に優り、特にH由来Fe炭ではメソ孔径が効果的に増加して市販のメソ孔活性炭のデキストラン吸着能を大きく上回ることが分かった。また、水蒸気エッチングよりCO2エッチングの効果が大きいことも明らかにした。(5)樹種にかかわらず850℃Fe炭、900℃Ni炭では、500℃炭細胞壁中に両金属の5nm前後の超微粒子(量子ドット)が均一に生成し、この量子ドットが800℃以上の高温で細胞壁内を激しく動き回り、表面をグラファイト層とする中空のナノ炭素がランダムに連結したナノ結晶炭素(グラファイトシェルチェーン、GNSCと命名)が形成する。この特異構造が二元機能を発現させ、鉄はニッケルより細長いGNSCをつくることが明らかなった。(6)上記(1)~(5)から、樹木にかかわらず鉄もしくはニッケル原料塩の適当量(2-3wt%)を水溶液含浸で添加した後500℃炭化して燃料用軽質タールを得た後850-900℃再炭化して水素リッチガスと共に二元機能炭素を製造するというプロセス構想の合理性が実証された。
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