研究課題/領域番号 |
21380107
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
船田 良 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (20192734)
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研究分担者 |
梶田 真也 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (40323753)
渡辺 宇外 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (70337707)
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キーワード | 二次木部 / 細胞壁 / 細胞分化 / 管状要素 / 細胞骨格 / 微小管 / ポプラ培養細胞 / ブラシノライド |
研究概要 |
本研究では、厚い二次壁とともに壁孔やせん孔など複雑な修飾構造を形成する仮道管や道管要素などに類似した二次木部細胞を樹木の培養細胞(カルス)から高頻度で直接誘導する新規モデル系を確立し、二次木部細胞の形態形成機構や細胞壁形成機構に関する新知見を得ることを主目的としている。平成21年度は、交雑ポプラやカキノキの培養細胞を用いて、二次木部様の細胞を直接誘導することを目的とした。 交雑ポプラ培養細胞を用い、誘導培地条件、光条件、誘導期間を検討し、二次木部様細胞の誘導条件を検討した。交雑ポプラ培養細胞をブラシノライド添加培地で誘導したところ、誘導開始から10日目に一次木部の特徴をもつ管状要素と混在して、偏光顕微鏡下で複屈折を示し、有縁壁孔の存在など二次木部の特徴をもつ管状要素が観察された。一方、16時間明条件における培養により、植物成長調節物質無添加の培地においても管状要素の誘導が認められた。培養期間の延長により、観察される管状要素量に増加する傾向がみられ、特に誘導開始から3週から4週にかけて管状要素の誘導量が顕著に増加することが分かった。カルス細胞内に存在する微小管を蛍光抗体染色法で観察したところ、微小管の配向や局在の連続的な変化が認められた。ブラシノライド添加はカキの培養細胞にも有効であり、カルスをブラシノライトを添加した培地に移した結果、濃度に関わらず管状要素が多く観察された。また、暗条件より明条件において管状要素が多く観察され、誘導された管状要素は二次木部の特徴をもっていた。交雑ポプラやカキ培養細胞から一次木部タイプだけでなく、二次木部タイプの管状要素を直接誘導できることを明らかにした。平成22年度以降、誘導率と同調性の向上を行い、誘導系を確立する予定である。
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