研究概要 |
本研究では,生態系サービスの恩恵に与る人類そのものが地球生態系に負の影響を及ぼしていることをかんがみ(ミレニアム生態系評価,国連2005),サケ属魚類をキーストン種として北海道-オホーツク海-ユーコン川-ベーリング海にわたる亜寒帯水圏生態系の順応的管理と予防原則に基づく生態系ベースのサステナビリティとリスクマネージメントの確立をはかり,海洋を含む水圏の豊かな生物生産を保証する多様性に富む水圏生態系の保全と人類存続のための資源利用の調和をはかることを目的に研究を行った。具体的には、キーストン種であるサケ属魚類をターゲットに、亜寒帯水圏生態系におけるヒューマン・インパクトに対処した順応的管理と予防原則に基づく生態系ベースの持続可能な資源管理と生態系リスク・マネージメントを構築するための科学的基盤を確立につとめる。すなわち,亜寒帯水圏生態系の不確実性と環境変動の将来予測モデルを構築し,避けるべき事態の発生リスク確率を評価し,それが許容限度以内になるような管理計画をつくる。本年度は研究の最終年度として,本研究の集大成として次の研究に取り組んだ。(1)生態系ベースによる持続可能な資源管理として,キーストン種サケ属魚類の生活史モデルとモニタリング体制を含む順応的管理手法技術を確立した。(2)生態系リスク・マネージメントとして,亜寒帯水圏生態系モデルによるリスク管理手法技術も併せて確立した。(3)生態系ベースによる持続可能な資源管理と生態系リスク・マネージメントを包括し,亜寒帯水圏生態系のサステナビリティとリスクマネージメントに関するレジーム・ストラクチャを確立した。
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