研究課題/領域番号 |
21380114
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荒井 克俊 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (00137902)
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研究分担者 |
村上 賢 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80271360)
矢部 衞 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (80174572)
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キーワード | 倍数体 / クローン / ミトコンドリアDNA / 反復配列 / ミニサテライト / マイクロサテライト / FISH / 減数分裂 |
研究概要 |
外来ドジョウの実態とその在来種への影響の解明を目的に、北海道北部1地点、石川県4地点、青森県2地点より370尾余りのドジョウを採集し、遺伝的解析を行うとともに、形態学的分類学的解析に耐える固定標本を整備した。フローサイトメトリーによる倍数性判定を行ったところ、採集した標本では二倍体がほとんどであったが、北海道網走郡大空町で8.1%、石川県七尾市能登島半浦町で7.7%、同市直津町で2.4%の三倍体が生じた。大空町、半浦町のドジョウでは、クローンに特徴的なmtDNA調節領域のRFLP頻度が特に高く、これらの地域における自然クローン生息を強く示唆した。PCRと電気泳動法で核ゲノムの反復配列マーカーMaBglを見ると大空町の全試料と七尾市半浦町と直津町の少数試料は400bpの断片を示したのに対し、他の地域の試料はすべて460bpの断片を有し、遺伝的な相違が明らかになった。ドジョウと外来のカラドジョウあるいは他種のドジョウとの判別を行うため、ヒト33.6ミニサテライトあるいはマイクロサテライトコア配列プライマーを用いて増幅した断片を回収して、配列を解析して種判別用マーカーを開発した。中国産の自然四倍体と二倍体ドジョウを用いて染色体標本を作製し、銀染色、クロモマイシンA染色により、核小体形成域を検出したところ、それらはヒトrDNAをプローブとしたFISHによりシグナルが見られた領域に一致し、二倍体では2本の、四倍体では4本の最大の中部着糸型染色体短腕にあった。さらに、雌の卵核胞と雄の精巣について減数分裂時の染色体の対合を観察したところ、二倍体は25本の二価染色体を示したの対して、四倍体は多くが3-4本の四価染色体を含む分裂像を示した。四倍体における四価染色体の存在から、中国産の自然四倍体はゲノム全体の重複により生じた同質四倍体の可能性が示唆された。
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