研究概要 |
養殖水族の生物特性の把握として、飼育条件下でのマボヤの摂餌特性およびマナマコの成長解析、岩手県大槌湾内でのマナマコの成長試験、湾内の物質循環把握のための3次元物理-生態系モデルへの底質の組み込みおよび物理モデルの改良に取り組んだ。また、今年度購入した現場粒子解析センサーの機能試験と校正を行い、機器特性を把握した。マボヤの摂餌に関しては餌料選択性が明らかになった。マナマコの成長解析は貝類との複合養殖の観点から混合飼育を行った。アワビとナマコの混合飼育においては、アワビ用配合飼料を与えることで混合群が良好な成長を示すことを認めた。カキとナマコ、ホタテとナマコの各混合飼育については、ナマコを良好に成長させる貝類のバイオマスおよび餌の量の特定を進めている。 マナマコの成長試験は、岩手県産親ナマコから得られた約1歳4ヶ月の個体をカキ棚下とホタテ棚下の底質上に配置し、成長を経時的に調べた。コントロールは養殖施設から離れた海域に置いたものである。現在も実験を継続しているが、コントロールに比べてカキ棚・ホタテ棚群は有意に高い成長を示した。環境要因の解析から、この成長の差は、貝からの糞供給という好適な餌条件によるものと考えられる。この試験は次年度も継続するが、2月末に大槌湾を襲ったチリ津波によってホタテ棚下の生け簀が回収不能となったため、これについては次年度に試験を再開する。 モデルへの底質の組み込みについては、モデルそのものの改良に加えて底質モデルの検証データとして使用するためのDO濃度,栄養塩,POCの鉛直分布データの取得が進んだ。物理モデルの改良はほぼ終了し、印刷公表の順部を進めている。
|