研究課題/領域番号 |
21380123
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
木暮 一啓 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (10161895)
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研究分担者 |
濱崎 恒二 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80277871)
吉澤 晋 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (00553108)
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キーワード | プロテオロドプシン / 海洋細菌 / プロトンポンプ活性 / Flavobacteria / 遺伝子解析 / 遺伝子伝搬 / 16S rDNA |
研究概要 |
プロテオロドプシンは、2000年にメタゲノムのアプローチによって海洋表層におけるその遺伝子の存在が初めて確認され、大腸菌を用いたプロトンポンプ活性が確認された。また、遺伝子解析から、海洋表層の細菌の半分程度がこの遺伝子を持つことが明らかにされてきた。しかしながら、海洋細菌分離株でこの遺伝子を持つものは10株あまりしか報告されていなかった。本研究の目的はプロテオロドプシンを持つ細菌を海洋から分離し、その遺伝子構造を確認するとともに、その活性を直接測定し、海洋でのその意義を確認することにあった。本研究を通じて新たに38株のFlavobacteriaに属する菌にプロテオロドプシン遺伝子があることを確認し、その遺伝子の塩基配列を測定するとともに、光照射下でのプロトン排出能を測定した。その結果、これらの株がFlavobacteriaのかなり広い範囲の系統群に分布しており、おそらくこの系統群の半分程度まで達する可能性があること、チェックした8株の全てが光照射下で、明瞭なプロトン排出を行うこと、16S rDNA遺伝子塩基配列と比較した結果から、プロテオロドプシン遺伝子は水平伝搬したと考えられることなどが明らかになった。さらに実験的環境下でのプロトン排出速度およびいくつかの仮定から、海洋環境下では微生物群集の呼吸量の15%程度に相当するエネルギーがこの機能を通じて生産されていることが明らかになった。本研究を通じて世界最大のプロテオロドプシン保持株のコレクションを作るとともに、今後さらに多様な研究が可能になった。
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