研究課題
本研究では、仔魚の餌料生物として有用な餌料用動物プランクトンを、天然域での採集や実験室内での選抜と交雑、および仔魚の摂餌選択性調査を通じて探索し(一昨年度)、これらを餌料生物として給餌した結果、実際に仔魚の成長、生残、活力が増大することを明らかにしてきた(昨年度)。今年度は、有用種の高密度培養と行動について検討し、餌料生物としての適合性を明らかにした。1)小型仔魚用餌料として有用な餌料価値を示した汽水性ワムシProales simllisを対象とし、一昨年度の研究により求めた量産培養用の環境(水温25℃、塩分25)のもとで、淡水産クロレラ(Chlorella vulgaris)を餌料とした実際の大量培養を想定した2L水槽内でのバッチ式培養を行った。その結果、P.similisは、初期密度25個体/mLから2400個体/mLまで増殖し、高密度培養が十分に可能であることが示された。仔魚飼育実験時に実施した500L水槽を用いた連続培養では、3日間で9000万個体から1.7億個体に増加した場合もあったが、増殖が止まってから個体数の激減が起こる例もみられ、安定培養技法の確立が今後の課題となった。2)仔魚は水中に浮遊する動物プランクトンを摂餌する。餌料生物として汎用されるシオミズツボワムシBrachionus plicatilis(以下ワムシ)は遊泳行動と付着を繰り返すので、付着を抑制するための要因の解明に取り組んだ。その結果、水中に餌(植物プランクトン)が十分量存在する良好な環境下でワムシは付着行動を示すと共に、急激な塩分の上昇等の大変強いストレスによっても付着が誘導されることがわかった。また仔魚の餌料となるようにワムシを遊泳させるためには、一時的な飢餓等のある程度のストレスを与えることが有効であった。
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水産技術
巻: (印刷中)
水産工学
巻: 48 ページ: 99-108
Fisheries Science
巻: 77 ページ: 599-605
10.1007/s12562-011-0356-5
http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/about/info/science/science35.html