研究課題/領域番号 |
21380126
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中西 照幸 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00322496)
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研究分担者 |
杣本 智軌 九州大学, 農学研究科, 准教授 (40403993)
荒木 亨介 鹿児島大学, 水産学部, 助教 (30409073)
中易 千早 独立行政法人水産総合研究センター, 養殖研究所, 研究員 (00311225)
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キーワード | 魚類 / T細胞 / 細胞性免疫 / モノクローナル抗体 / ギンブナ / CD4 / CD8 / パーフォリン |
研究概要 |
魚類の免疫研究においてT細胞サブセットに対する抗体がなく細胞レベルでの研究が遅れている。最近ギンブナで、ヘルパーT細胞及び細胞障害性(キラー)T細胞の細胞表面マーカーとして知られるCD4及びCD8αに対するモノクローナル抗体(mAb)の作製に成功した。本研究においては、ウイルス性及び細菌性疾病の診断・予防法を開発するために、mAbを用いてT細胞サブセットの分化、成熟及び活性化機構を解明するとともに、ギンブナを感染モデルとしてウイルスや細胞内寄生細菌に対するT細胞機能を解明することを目的とする。本年度は、以下のような成果を得た。 1)ギンブナよりCD3ε及びCD8β遺伝子を単離し組換え体を作製した。このことによりT細胞サブセットの詳細な解析のための抗体作製が可能となった。2)細胞質にITAMモチーフを有する硬骨魚類特異的なCD4様遺伝子を発見し、mAbを作製して栓球及び赤血球に発現することを明らかにした。また、ヘルパーT細胞の分化に関わるマスター遺伝子である転写因子Th-POKの全長を決定した。3)魚類のT細胞の分化・成熟機構を探るため、CD4,CD8,CD4/CD8ダブルポジチープT細胞の各器官における分布を明らかにした。4)3種類のギンブナIFNγ遺伝子の組換え体の作製に成功し、IFNγによるTh1細胞の誘導及びキラーT細胞の分化・活性化機構解明に道を開いた。ウイルス感染防御におけるIFNγの役割解明が期待される。5)ギンブナのエドワジェラ菌に対する感染防御において、抗体は誘導されずIFNγ、パーフォリンおよびマクロファージの窒素酸化物(NO)産生が有意に高まったことから、細胞内寄生細菌に対する感染防御において液性免疫よりも細胞性免疫が関与していることを明らかにした。
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