研究概要 |
水産資源が豊かな日本では海藻の糖質をはじめとする海洋バイオマスは未開発の再生可能なエネルギー資源となる。本研究では,海藻糖質をエタノールに変換する能力を持つ2種類のビブリオについて,アルコールや水素発酵に関連する遺伝子群の解析とその発現量バランスの解明を行い,マリンビブリオによる海洋バイオマスのバイオエタノール変換技術の基盤を構築する。平成23年度は,V.halioticoliのADH遺伝子の発現解析及びアルギン酸分解酵素遺伝子の解析を行い以下の結果を得た。 1.V.halioticoliのゲノムにコードされていたADH遺伝子を,さらに詳しく一次構造解析を行い,10種に絞りこんだ。その中で9種の遺伝子の大腸菌内での発現に成功し,さらに1種のADH遺伝子で組換えADHの活性測定に成功した。これはエタノールを基質としNADH存在下で活性を示した。 2.これらADH遺伝子の,マンニトールおよびグルコース存在下,対数増殖期の細胞における遺伝子発現量の変化をリアルタイムPCRで測定することに成功した。7つのADH遺伝子がマンニトール存在下で2倍以上高い発現を示すことを観察した。 3.V.halioticoliのゲノムには,少なくとも15種のアルギン酸分解と資化に関する遺伝子がコードされていることを明らかにした。また,その中で,エキソ型のAlginate_lyase_2ファミリーに属する3つの遺伝子の大腸菌内での発現に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,研究目的に達成に向け,遺伝子の発現解析に重点をおく。また,本研究課題はH22年度のゲノム支援を受けており,当初目的としていた2種のマリンビブリオに加え,5種のドラフトゲノム解析結果を得ている。今後はそれとの比較解析につなげ,不偏性の高いマルチプラットフォームの構築も目指す。
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