研究課題/領域番号 |
21380130
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 茂 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (00224014)
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研究分担者 |
松永 茂樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60183951)
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キーワード | 微細藻類 / Botryococcus braunii / 生合成 / イソプレノイド / スクアレン / プレスクアレン二リン酸 / Botryococcene / メチルエリスリトールリン酸 |
研究概要 |
微細藻Botryococcus brauniiは、botryococceneおよびメチルスクアレンという特異なトリテルペンを大量に生産するため、代替燃料として注目されている。Botryococceneとスクアレンは分子構造の類似性から、共通の前駆体であるファルネシル二リン酸(FPP)が先ず二分子縮合することでプレスクアレン二リン酸(PSPP)が生成し、その後の変換反応の違いにより、それぞれの分子骨格が作られると考えられてきた。一般にスクアレンは、スクアレン合成酵素(Squalene Synthase=SS)という単一の酵素が上述の二段階の反応を行い生成する。それに対し本藻種では通常のSSに加えて、3種のSS様タンパク質(SS-Like protein=SSL)-1~3が存在した。そしてSSL-1がFPPをPSPPに変換し、SSL-2がPSPPをスクアレンへ、SSL-3がPSPPをbotryococceneへ変換するという、他生物に例を見ない機構で2種のトリテルペン類を生産することが分かった。また、botryococceneおよびスクアレンにメチル基を導入し、分岐鎖を増やす酵素であるtriterpene methyltransferase(TMT)が3種存在し、TMT-1および2がスクアレン骨格にメチル基を、また、TMT-3がbotryococcene骨格にメチル基をそれぞれ2つまで導入することが明らかなった。本藻種のテルペンの前駆体は、全てメチルエリスリトールリン酸(MEP)経路により供給される。MEP経路の第一反応を行う1-deoxy-D-xylulose5-リン酸合成酵素は、ゲノム情報が得られている微細藻類では1つしか存在しない。それに対しB. brauniiには3種のアイソザイムが存在しており、この違いが本藻種におけるテルペンの大量生成を支えている可能性が示唆された。
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