研究課題/領域番号 |
21380132
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
仙北谷 康 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50243382)
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研究分担者 |
樋口 昭則 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (40250534)
耕野 拓一 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (20281876)
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キーワード | 抗生物質 / 家畜疾病 / キャッシュフロー / 食の安全・安心 |
研究概要 |
家畜飼養における抗生物質投与は2種類に分類され、第一は治療目的の投与であり、第二は成長促進目的の投与である。このうち成長促進目的のAGPについては主として平成21年度に検討した。22年、23年度は治療目的の抗生物質投与削減について検討した。23年度の成果の概要をまとめると以下のようになる。 1.治療目的の抗生物質投与を削減するためには、家畜を健康な状態に保つことが前提となる。その検討のため、家畜疾病が畜産経営に与える影響を、キャッシュフローの面から明らかにした。大規模農場における家畜感染症のまん蔓延は資金循環にインパクトを与え経営の再生産に深刻な影響を与える。抗生物質削減はいわば社会的厚生の向上に資するものであるが、その影響で個別経営の側では経営の再生産が危機的な状況に陥る可能性があることが指摘された。 2.22年度に引き続き欧州における抗生物質使用削減の取り組みを整理した。スイスも含めて欧州では農家に対する直接支払政策との関連で、抗生物質削減が積極的に取り組まれている。しかしその代替技術としてはバイオダイナミクス、ホメオパシーなどが注目されているものの科学的根拠に乏しいのが実態であり、模索段階といって良いと思われる。 3.わが国農畜産物の輸出先として、近年経済成長がめざましい中国が注目されている。その背景のひとつとして、中国国内の農家および食品工場における、食の安全を脅かす事故の多発によって、中国産食品の安全性への信頼が失われたことがある。しかし、中国政府が中国産食品の安全性を高めようとしている現在、日本産食品の安全性のみを消費者への訴求として販売することは困難である。中国国内では、日本からの農畜産物生産の技術移転が期待されている。とくに有機農畜産物生産技術に対する注目が高まりつつある。このような中で抗生物質利用の適正化も図られていくものと思われる。
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