研究課題/領域番号 |
21380140
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
岩本 純明 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (40117479)
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キーワード | 共有資源 / 慣習 / 漁業権 / 入会権 / 水利権 |
研究概要 |
本年度は国内5箇所、海外4箇所で調査を実施した。概要は以下の通りである。 1.国内:(1)阿蘇入会牧野の資源管理システムの現状と課題を、連携研究者3名の参加も得て調査を実施した。高齢化に伴い草地管理が困難となるなかで、牧野組合の対応が分化している点が新たな発見であった。NPO法人を核として、市民参加による資源管理システムが模索されている点も重要な知見であった。このほか、(2)千葉県旭市における農地開発と水利秩序形成、(3)鹿児島県沖永良部における集約的土地利用システム、(4)秋田県における公有林野政策、(5)長崎県における共有資源管理制度、などについて、連携研究者による単独調査を含めて、実態調査・資料収集を実施した。 2.国外:(1)ネイティブハワイアン社会の島嶼型共有資源管理システムを調査した。ハワイでは、流域を単位とし、水量と標高の差に応じて作物栽培と養魚を組み合わせた伝統的な資源利用管理システムが伝統的に行われていたが、近年その環境保全的意義が再評価されており、復活のプロジェクトが立ち上げられていた。調査を通じて、その特徴とその意義につき多くの知見を得た。(2)インドネジアで近年新しい国有林管理制度として導入された社会林業プログラムの実施状況とその成果を、10年以上にわたって岩本が継続訪問している中部ジャワ村落で調査した。解決すべき課題を残しているとはいえ、地元住民に森林保護へのインセンティブを与えていることを確認した。(3)連携研究者による調査を、中国とタイで実施した。中国は華南農村の共同体と土地利用構造を、タイでは住民による森林資源管理の現状を調査した。いずれもこの分野の専門家による調査であり、多くの知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究分野について調査すべき分野・地域について、ほぼ予定どおりの調査が国内、国外で実施できた。 連携研究者を含む総括検討会が実施できなかったので、次年度には実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は本研究の最終年度なので、補足調査を中心に実施するとともに、連携研究者の参加を得て総括研究会を実施したい。 研究成果のとりまとめが、次年度の最重点課題である。
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