研究概要 |
平成21年度は,(1)低平水田流域における落水量調整技術の開発,(2)開発した技術の現地適用性の検証,(3)モデルによる田んぼダム実施流域の効果検証,(4)田んぼダムの技術普及活動の4項目を中心に据えて,研究活動を行った. (1)低平水田流域における落水量調整技術の開発 新潟県,新潟市および西蒲原土地改良区との協力のもと,整備済み水田の垂直設置型堰板用の孔断面調整金型と未整備水田用の落水量調整キャノプを開発した.新潟大学水理実験棟の室内実験および計算によって,それぞれの性能を検証した,その過程で構築した「田んぼダム流出量算定システム」は,現在,新潟大学農業水利学研究室のHPで公開している.(論文投稿中) (2)開発した技術の現地適用性の検証 低平整備済み水田地区として新潟市南区白根郷全域(7,230ha),未整備水田地区として新潟市西区横江排水区城(1,530ha)の2地区フィールドを設定し,それぞれに田んぼダム試験区・通常排水試験区を設けて,開発した技術の現地適用性を検証した. (3)モデルによる田んぼダム実施流域の効果検証 流域スケールで田んぼダム実施時の効果を定量化することを目的に,数値シミュレーションモデルを構築した.シミュレーションの結果,低平水田流域においても田んぼダムの有効性が確認できた.(論文投稿中) (4)田んぼダムの技術普及活動 新潟県,新潟市および土地改良区等との協力のもと,田んぼダム技術普及のための説明会・講習会を農家および自治体職員に対して,新潟県各地(上・中・下越,合計5回)で開催した.なお,本研究成果に基づき,新潟県は普及用パンフレットを作成し,今後の取組の普及を目指している.
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