研究課題/領域番号 |
21380151
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荒木 肇 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30183148)
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研究分担者 |
大門 弘幸 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (50236783)
中元 朋美 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (50180419)
上野 秀人 愛媛大学, 農学部, 准教授 (90301324)
小松崎 将一 茨城大学, 農学部, 准教授 (10205510)
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キーワード | カバークロップ / 窒素無機化 / 土壌耕起 / 土壌生物性 / 炭素貯留 / 持続的生産 / 温暖化ガス / 省資源 |
研究概要 |
明らかにする研究事項にそって成果の概略を記述する。 (1)カバークロップ分解の種間差および温度の影響:9種類の緑肥を水田土壌に添加し、アンモニア態窒素濃度の推移を測定すると、窒素生成量および無機化速度は、マメ科緑肥>マメ科緑肥以外>無施用土壌の傾向であった。収穫時の推定窒素生成量に対する移植後30日間の生成窒素の割合は、無施用区54%、マメ科緑肥区68-81%、その他緑肥区57-67%で、マメ科の分解が早く、かつ水稲の吸収率も高かった。マメ科ヘアリーベッチの無機化には温度が影響し、25℃以上では培養2か月で58%が無機化したが、20℃では低下した。 (2)カバークロップ導入圃場の土壌生物活性:カバークロップを連用している北大と茨大圃場からの採取土壌における細菌とカビのバイオマス(活性)を基質誘導呼吸(SIR)の測定により調査した.カバークロップ種と耕起法はともに微生物バイオマスに影響を与えたが,イネ科カバークロップの導入圃揚ではカビのバイオマスが増大する傾向にあったカビのバイオマスは土壌団粒の発達と密接な関係にあった. (3)経年的生産力の評価:カバークロップを導入して、そのマルチ畦にトマトを4年継続して栽培したところ、ヘアリーベッチマルチ圃場では、窒素施肥量を12kgや8kg/10aに減じても、対照(裸地+N24kg/10a)と同等の収量性を示し、マメ科カバークロップ導入により、低栄養下での収量性維持が示された。 (4)炭素蓄積・温暖化ガス:土壌炭素蓄積にカバークロップと土壌耕起が影響した。カバークロップをロータリーやプラウ耕で処理すると土壌炭素は微増だが、カバークロップと不耕起を結合させると土壌炭素が顕著に増加した。 (5)研究のアウトリーチ活動として、研究協力者のクヌート・シュミツケ教授(ドイツ・ドレスデン大学)と研究交流し、クヌート教授には東京や北海道で有機農業の背景と、そのためのマメ科作物の導入法を講演いただいた。
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