研究概要 |
(1)目的:省資源や温暖化ガス削減を目指した近代的な有機農業体系実現のために、低栄養圃場へのカバークロップの導入効果を、生産力、炭素隔離、肥料成分の有効利用の視点から評価する。さらに有機農業先進国であるドイツの大学研究者と交流し、研究動向を調査する。 (2)マメ科およびイネ科カバークロップの養分供給:春コムギとカバークロップの一年輪作体系においてヘアリーベッチ(以下HV)導入区でコムギ生育時の全窒素量が多くなり、HVマルチのハウストマトや、HVとエンバクの混作後のトウモロコシ収量も増加した。全N吸収量に対するHV由来窒素の割合を15Nトレーサー試験で調査すると、コマツナ,ハツカダイコンでは48-70%、トマトでは11-19%と作物により差異があったが、低窒素区やHVの透き込み区で高くなる傾向であった。コムギ不耕起栽培において生育後期で相対リン酸量が高い傾向にあった。夏作カバークロップの養分吸収量と有機栽培への適応性について、ソルガムが有機物供給にすぐれ、クロタラリアを導入した有機栽培ブッロコリで高収量となった。 (3)カバークロップ導入圃場の有機物や生物性:茨城大や北大の連年カバークロップ導入圃場では、土壌有機炭素量,カビの活性,土壌団粒の発達程度の3者には,緊密な関係が存在した。とくにイネ科のカバークロップはカビの活性を顕著に高めた.温室トマト栽培において緑肥区では土壌酵素活性が高く、BIOLOGプレートによる評価ではHV区では高い微生物多様性や高い基質資化性が示された。 (4)ドイツ大学との研究交流:10月1-10日でドイツドレスデン大学、ミュンヘン大学・ボン大学・カセル大学め農場や有機農家、ドイツ農務省有機農業推進セクションおよびスイス有機農業研究所を訪問・研究交流を行い、その情報をカバークロップ研究サイトにアップした(URL:http://www.hokudai.ac.jp/fsc/farm/edu/cover.htm)。
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