研究課題/領域番号 |
21380152
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
岡田 益己 岩手大学, 農学部, 教授 (10355274)
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研究分担者 |
鮫島 良次 農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, チーム長 (70355452)
下野 裕之 岩手大学, 農学部, 准教授 (70451490)
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キーワード | 発生・分化 / イネ / 日長感応 / 基本栄養成長 |
研究概要 |
日長の上り・下り勾配に対する応答や基本栄養成長相の長短を把握するには、イネが短日に感応し始める時期の特定が必要である。そこで、イネの生長点の分化速度を水温で制御しながら、長日条件から短日条件にサンプルを順次移動することにより、日長感応開始期を判定する手法を確立した。20、25、30℃の水温処理水槽1台計3台を1組とし、2組を用意した。一方の組を短日区(13.5h)、他方を長日区(24h)日長とした。処理開始時には、短日区の各水槽に2ポット、長日区の各水槽に10ポットを設置し、葉齢が5、7、9、11、13葉期に達したときに同じ水温処理区の長日区から短日区に各2ポットを移動した。幼穂形成期前後にイネを順次採取し、幼穂長を調査して幼穂形成期を確定した。供試品種はあきたこまちである。 実験の結果、水温が高いほど日長感応の開始葉齢が遅くなり、葉齢が日長感応の開始期を決める指標にならないことを明らかにした。一方、いずれの水温区でも出芽後18日頃までは日長に感応せず、その後に感応が始まることから、日長感応の開始を決めるのは単純に日数であるという新しい結果を得た。また日長感応開始期から幼穂形成期までの間に、水温に関わらず葉齢が4枚展開することも判明した。これらの成果は、イネ品種の日長感応に関する研究を進める上で、基礎となる重要な知見である。これまで気象条件によって出穂期の止め葉葉位が変わることが指摘されてきた。今回の成果を使えば、この現象を簡潔に説明できる。すなわち、水温が高いと日長感応開始期までにより多くの葉が展開するので、止め葉葉位が増え、あたかも基本栄養成長相が長くなったかのような現象が現れる。 以上により基本栄養成長相の延伸が、生育初期の水温の違いによって見かけ上起こることが明らかになった。他品種についても確認の要があるが、当初課題の一つをほぼ解明することができた。
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