研究課題
25日間で日長を13~14時間および13.5~14.5時間に変化させる上りと下り勾配の実験を2回行った。いずれの実験でも出芽後18日目までは長日条件(16時間日長)に設定し、その後に上の勾配処理に以降したところ、勾配処理開始時の急激な日長短縮に、供試4品種のすべてが感応したと思われる結果が得られた。そこで日長時間を14時間(14h)と16時間(16h)の区を設けて、相互の間でサンプルを移動し、日長時間の急変が穂分化に及ぼす影響を解析した。ここで設定した日長時間14hと16hはコシヒカリや日本晴にとって明らかに長日条件であり,またあきたこまちやひとめぼれも14hで出穂が遅れることが分かっている。このような長日条件内での移動処理にもかかわらず,幼穂形成期(PI)に有意な処理間差が認められた。例えばコシヒカリでは、これまでの知見から予測された通り14hが十分な長日条件であり、14h一定区、16h一定区ともPIが同一日となった。これは出芽5週間後の強制的な短日条件(12h)で穂が分化した結果と考えられる。これに対して日長の急減処理(16h→14h)でPIが約4日早まり、日長の急増処理(14h→16h)ではPIが約2日遅延した。他の3品種でもほぼ同様の結果が得られた。これらの結果を総合すると、たとえ14時間以上の長日条件でも日長の急減によって、短日条件と同様にイネの穂分化が促進されること、一方、急増によって穂分化が遅れることが明らかになった。このことは今まで知られていなかった植物の日長反応であり、下り勾配の日長変化にイネがより敏感に感応することを示す重要な知見である。なお別の実験で、イネの花成促進因子(Hd3a)の発現を調べたところ、一部の品種で、日長の急減処理(16h→14h)に伴う発現量の増加が観察された。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
Field Crops Research
巻: 121 ページ: 195-199
巻: 121 ページ: 88-95
Journal of Agricultural Meteorology
巻: 66 ページ: 193-200