研究課題
★近赤外線分光スペクトルから硝酸濃度を推定する検量線(重回帰式)の作成と硝酸濃度分布画像の合成昨年度の濃度分布測定精度を向上させるために葉面上における光量の増加並びに葉の凹凸を減じるように撮影法を変更した。また、葉面の性状をそろえるため使用する葉の大きさ限定した。PCR法及びPLS法により検量線を新たに作成した結果、実測値と推定値との相関係数はコマツナおよびホウレンソウで0.9を超えた。この検量線を使用して葉面分布を合成したがぐ正確な分布計測ができなかった。その理由として検量線作成時と葉面分布作成時における葉温の違いおよび光源光量の不足が考えられた。来年度はこれらの改善点に留意して新たに検量線を作成し、葉面分布非破壊計測法を確立する。★NO_3^-導入刺激による硝酸還元酵素NR活性化の検証パルスチェイス法により葉内硝酸イオン濃度を人為的に変化させた。養液から水へ置換する硝酸濃度低下実験をガラス温室内で、逆に水から養液に置換する濃度上昇実験は株から茎を切り茎を養液に浸けてグロースチャンバー内の一定気温下で行うよう昨年度から変更した。予備実験より濃度低下期間は2日間、濃度上昇期間は1時間が適当であることがわかった。非破壊硝酸濃度分布計測法が確立できなかったため今年度は硝酸濃度を非破壊計測により計測した。NR遺伝子は微量で測定が困難であるため発現量を増幅可能なNRmRNAの発現量を測定し、NR活性の指標とした。濃度低下実験後と上昇実験後に葉の中肋に近い内側部分と葉の端に近い外側部分から葉片を採取した。これら葉片を2つに分け、一方はRT-PCR法および電気泳動法によるNRmRNAの発現量の測定に、他方は硝酸イオン濃度計測に使用した。その結果、葉の内側および外側の部位間並びに濃度上昇実験前後の間に硝酸濃度に統計的有意差は見られなかった。一方、NRmRNAの発現は濃度低下実験後には確認されなかったが、上昇実験後では葉の内側および外側で発現が確認された。このことから硝酸の導入刺激によるNR遺伝子の発現が確認された。ただし、上記の測定は濃度上昇実験前後で同一葉を使用していないため上昇実験前後で葉の内側と外側でどれだけ硝酸濃度が変化したのかを確認することができなかった。このためにNR遺伝子発現の原因が硝酸なのか、それとも硝酸以外のシグナル伝達物質であるのかを判断できなかった。正確な解析には非破壊硝酸濃度分布計測法が必要である。
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AGRICONTROL 2010 IFAC International Conference Preprints