研究概要 |
作物生育パラメータについて航空機計測と実測値の関係を調べるため,北大北方生物圏フィールド科学センター生物生産研究農場にて生育調査を行い,上空からも航空機レーザ計測および画像計測を実施した。対象作物は水稲,スイートコーン,馬鈴薯,ダイズ,小麦,イネ科牧草,デントコーンとし,航空機観測の数日前後した間に圃場での生育調査およびRTK-GPSによる調査地点の位置計測を行った。生育調査では,0.5m×0.5mを標準の面積とした調査プロットを設定し,全ての作物に共通な項目として草丈と自然草高,作物の種類によってはLAI,乾物重,茎数,分枝数を測定した。 航空機観測の画像計測では,画像を評価区域範囲内で切り出し,正規化植生指数(以下,NDVI)を求め,実測値と比較した。この部分は航空機搭載カメラの不具合により解析に必要な赤外線画像が十分には取得できず,翌年度に本格的な実施となった部分である。航空機画像計測による植生指数(NDVI)と各種作物の草高を比較すると,デントコーンで最も高い相関係数を示し(0.971),ダイズ(0.924),水稲(0.913),バレイショ(0.841)も相関が良かった。相関が悪かった牧草(0.296)やスイートコーン(0.581)は収穫の途中か直後であったためだと考えられる。以上のように,航空機計測による植生指数は草高との相関が高く,バイオマスとの関係も同様と考えられる。そのため,レーザ計測による情報抽出とともに使用すれば,植物群落を水平な層で分割し,層別のLAI等の作物生育パラメータを算定することにより,立体的な作物構造の推定が可能と思われる。
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